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乳がん核酸医薬、世界初の医師主導治験-国がんがヒトへの投与開始

 国立がん研究センター(国がん)は7日、抗がん剤や放射線治療が効かない局所進行・再発乳がん患者に向けた核酸医薬に関する医師主導の第1相臨床試験を開始したと発表した。国がんによると、乳がんを対象にした核酸医薬の医師主導治験は世界で初めて。【松村秀士】

 核酸医薬については、低分子化合物などと比べて毒性や副作用が少なく、がんを根本的に治療することが期待されている。しかしこれまで、必要な量をがん部位に到達させられないといった課題があり、がんの治療薬として承認されていないのが実情だ。

 こうした状況を踏まえ、国がんは医薬品の開発などを手掛ける企業と共同で、乳がんの治療抵抗性を生み出す遺伝子「リボフォリンII」(RPN2)の発現を抑える核酸医薬を開発した。サルを使った実験でこの薬の安全性を確認。一方、乳がんを発症したイヌに対する非臨床試験では、直径3センチ程度のがん細胞が投与後、約2か月で消失するといった有効性が確認できたという。

 国がんは先月30日、局所進行・再発がんの患者に対し、同薬の投与を開始。今後、2年間のうちに30例を上限に治験を行い、ヒトへの安全性や必要な投与量、有効性などを確認する方針。国がん中央病院乳腺・腫瘍内科の田村研治科長が、治験責任者を務める。

 7日に開かれた記者会見で、田村科長は同薬について、「順調に行けば、3―4年後に実用化できる可能性がある」と指摘。将来的には同薬の治験の対象を肺がんや大腸がんなどにも広げたい考えだ。

 局所進行・再発乳がんについては、乳房からわきの下にかけて大きな塊(腫瘤)などが生じ、局部の疼痛や出血、悪臭などを引き起こし、患者のQOL(生活の質)が損なわれることが少なくない。また、発育速度が早く、別の場所に転移しやすいため、手術が困難といった課題もある。同薬が製品化された場合、患者は手術に代わる新たな治療法の選択が可能となる見通しだ。同薬の対象となるのは、乳がん患者の1割程度とされている。