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健康な子どもがインフルエンザにかかったとき、突然に、けいれんを起こしたり、意識障害を起こして、インフルエンザ脳症・脳炎を発症します。
脳症にかかった1/3のお子さんが数日で亡くなります。運良く助かっても、重い後遺症を残すことが多いのです。
症状と特徴
・ 0〜5歳までの子どもに多く発症
0〜5歳の子どもに多く、毎年100人以上が脳症にかかっています。
脳症にかかった子どもの
31% 死亡
9% 常に介護を要する重度の後遺症 、
17% 軽度の後遺症
43% 後遺症無く完治
です。
(数値は2001年時点のデータです。その後2003年に関連があると思われる解熱剤の使用が禁止され、発症・死亡数とも減少傾向にあるようです。しかし、まだ発症するお子さんも少なくないようです。)
・ 短期間で発症
インフルエンザにかかってから1〜2日の間に、けいれんを起こしたり、意識障害をおこし脳炎・脳症を発症しています。発症すると数日の間に死亡することが多いようです。
・ 多くのの子どもにけいれん(痙攣)
脳炎・脳症による「けいれん」は「熱性けいれん」と見分けにくいようです。
通常の熱性けいれんは、全身性で、けいれんが左右対称性におこります。けいれんしている時間も5分以内で、けいれんの後すぐに意識が戻ります。
脳症の場合、症状は熱性けいれんに似ていますが、けいれんしている時間が長く、全身の症状が重く異なります。
症例
亡くなられた症例−1歳11ヶ月 男児(1998年1月下旬)−(*1)
・1日目: 38.5℃の熱、咳で小児科受診
母親も 39℃の発熱
・2日目
AM 元気があり運動も普通、ジュースやゼリーを食べていた
13:30 手足の振るえと共に40℃まで上昇
15:00 眼球上転、ぐったり、顔色不良
16:30 救急車コール
17:00 近くの病院へ搬入
診察中 全身硬直けいれん けいれんが止まるが深昏睡
20:15 小児救急センターへ移送
人口呼吸
・3日目
2:00 出血傾向著明 血圧低下
6:00 瞳孔不同 胸部CTで出血確認
・4日目 亡くなる
障害を残した症例−1歳5ヶ月 男の子(19991月下旬)−(*1)
・1日目
17:00 38.7℃ (4歳の姉が発熱の3日後)
喘息性気管支炎でテオフィリン内服中
・2日目
AM 食欲あり
13:30 39.6℃ 初めてアセトアミノフェン座薬を使用。直後けいれん
ポーッと一点を見つめその後、硬直。チアノーゼあり(顔色が紫色)
13:35 5分様子を見てもよくならないので救急車コール
間代性けいれん(手足をガクンとさせるけいれん)
近くの病院へ搬送
けいれんは止まるが、刺激で手足の硬直を繰り返し人口呼吸
15:30 小児救急センターへ移送
咳、半昏睡状態
22:00 血漿交換、抗けいれん剤、ステロイド、
シンメトレル(インフルエンザの一部に効く神経薬)
・5日目 胸部CT正常 抗けいれん薬中止
・8日目 MRIで 前頭葉に浮腫(むくみ)がみられた。
前頭葉の萎縮がおこりIQ60程度の知能障害を残す。
原因
詳しい原因はわかっていません。
しかし、特定の強い解熱剤を使った場合に起こりやすいと言われています。ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)、メフェナム酸(ポンタール)、アスピリン(大人用バファリンなど)は危険とされています。
子どもに使用されるアセトアミノフェンは、比較的安全とされています。
発熱と解熱剤につて
・ 発熱は、体内に入り増殖している細菌やウイルスを殺すための体の反応です。熱を下げると、この殺す力が弱まってしまいます。
健康な1歳をすぎた子どもは、40℃の熱があっても、元気で水分が取れていれば解熱剤を控えても良いでしょう。
お医者さんの診察を受け、水分栄養を取って安静にし十分に睡眠をとりましょう
・ 解熱剤は必ずお医者さんにみてもらい処方されたものを、注意して使い、古い薬や、他の人に処方された薬を飲むのは止めましょう。
・ 市販のほとんどの小児用風邪薬に解熱剤(アセトアミノフェン)が入っています。薬を飲む前に、一度説明書に目を通しましょう。
治療法
インフルエンザ脳症に、確立された治療法はありません。
けいれんが30分以上続くと「けいれん重積症」と呼ばれ緊急治療が必要になります。この場合は、けいれんを止めるため、抗けいれん剤のジアゼパムの静脈注射を行うようです。
予防
インフルエンザにかかってからは、脳症の予防はできないので、かからないようにすることです。
インフルエンザワクチンの予防接種が一番の予防とされ、特に、熱性けいれんを起した事のあるお子さんには薦められています。
費用は2回で数千円程度です。(病院により異なります)
こんな時は
================ すぐ、小児救急病院へ ===============
<インフルエンザ脳症の疑いがあるとき>
インフルエンザ流行期に次の症状があったら、すぐに病院へ
・ 高熱
・ 長くひどいけいれん(10分以上続くような)
・ 意識障害
<次の症状が子どもに見られたとき>
・ 幻覚:見えないものが見える
・ 恐怖感:異常におびえる
・ 怒り
・ 突然、意味不明のことをしゃべる
−−「小さないのち」の聞き取り調査結果から−−
インフルエンザ脳炎・脳症の子どもに見られた
子どもが急変する前に「おかしい」と感じた症状 (*1)
▼泣き方・おびえ・不安
・ 悲鳴を上げ、目をキョロキョロさせておびえる
・ 離れようとすると「行かないで」と泣き叫ぶ
・ 「恐い、助けて」と言い、家族の名を呼ぶ
▼視力・視覚
・ 母親がそばにいるのに「ママ、近くに来て」という
・ 消えているテレビ画面を見て「ネコが来る」と口走る
・ 自分の手を見て「あ、おいもだ」「ハムだ」という
▼言葉
・ 突然、意味不明のことをしゃべる。歌を歌う
・ 呼びかけに返事しない
・ 「ギャー」「キャー」などと奇声や悲鳴をあげる
▼表情
・ 目の焦点が定まらない
・ 目が上を向いたままになる。目がつり上がる
▼動作
・ 立てない、おんぶの時、背中につかまれない
・ 頭をぐるぐる回す。片手を何度も振り上げる
・ 狂ったように暴れる
▼睡眠
・ おう吐を繰り返しながら、ずっと眠る
・ 呼びかけに反応するが、目を開けていられない
(*1) 「小さないのち」の聞き取り調査結果から
インフルエンザなどによる脳炎・脳症で、子どもが亡くなったり後遺症を負った親の会「小さないのち」が会員百人に対し、聞き取り調査をした結果です。すべてがインフルエンザ脳症の症状だとは限らず、また、医学的な検証はされていません。
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お医者さんの診察を受けたら安心してしまうのではなく、お子さんの様子に
注意して、合併症や悪くなる兆しを見逃さないようにしましょう。
見つけたら、再度診察を受けたり、高度の治療ができる病院へかかるように
しましょう。